2020.12.25

CFOが考える。ベルフェイスの2020年。そして、未来のために為すべきこと

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 2020年のベルフェイスは、52億の資金調達に始まり、従業員数が約100名から約300名に拡大するなど、大きな変化があった年でした。

 そして、この変化を支え続けたのがCFOが管掌するコーポレートチームです。

 そこで今回は、CFOを務める土井さんに、「2020年の振り返り」「組織の良かったこと、改善点」「来年以降で目指していく方向性」を中心に、お話を伺いました。

 

誰も経験したことのない状況に向き合った1年

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ー 今年2回目のインタビュー、本日はよろしくお願いします

土井

 2回目になっても緊張していますが、よろしくお願いします。笑

 前回のインタビューから期間はそれほど経っていませんが、あれから色々あったなと感じています。

ー 今年は色々ありましたよね。特に、印象に残っていることはありますか?

土井

 一番大きかったのは、やはり資金調達直後にCOVID-19が深刻化したことですね。

 ベルフェイスは今年の2月に52億の資金調達を実施しましたが、その直後の外出自粛要請に始まり、加えて緊急事態宣言も発令されたことは、コーポレートチームにとっては大きな衝撃がありました。

ー 当時について、実際にはどうだったのでしょうか?

土井

 まず、あのような状況を誰も経験したことがなかったので、チームとして悩むことが多かったです。

 自粛要請によって、リモートワークが当たり前の世の中になり、学校も休校になったりと、私たちを取り巻く労働環境は大きく変わりました。

 ちなみに、2019年の12月にオフィス移転を実施したのですが、その数ヶ月後にはリモートワークが当たり前になりました。

 オフィスの利用頻度や人数は大幅に減ったので、正直なところ移転のタイミングを悔やんだこともありました。笑

ー 出社問題は多くの企業にとって争点になった年でしたね

土井

 ベルフェイスは以前からリモートワークを活用する働き方ではありましたが、リモートワークを前提とした働き方については私も他のメンバーも経験がありませんでした。

 加えて、大手企業の動きを見ても、会社によって方針はバラバラでしたし、何を基準に判断するべきかは争点になりました。

ー 最終的には、リモート前提の働き方に移行しましたが、どのような判断だったのでしょうか?

土井

 出社をどうするかについては、それぞれの生活環境によって影響が異なります。

 なので、ナイーブな問題ですし、社内でも意見が割れていました。

 特に、一番揉めたのが、月次で行っている全社員参加のアップデート会です。オフラインでの実施にこだわってきたので、オンラインに移行することは抵抗がありました。

 ただ、私たちは『bellFace』というオンライン営業システムを提供しています。

 だからこそ、自社でリモートワークが成り立たないといけないとも考えていましたし、最後は勇気を持って原則リモートワークに切り替えることを決断しましたね。

 

それでも、2020年は良いことも多かった

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ー 個人的には、セキュリティへの意識が高まった1年だったとも感じています

土井

 昨年の12月にリーガルチームを発足させるなど、これまでも経営における守りの部分は意識してきました。

 そして、さらに今年で強化したいと考えていたのがセキュリティ面です。

 ベルフェイスは秘匿性の高い情報を扱うプロダクトであるがゆえに、一度でも情報漏えいを起こしたらアウトです。

 ですから、2020年はセキュリティ周りに強いメンバーがジョインしてくれて、セキュリティチームとIT統制チームが立ち上がったのは大きかったなと考えています。

ー そう考えると、2020年は良いことも多かったと感じます

土井

 そうですね。個人的には、コーポレートチームは全体として上手く回っていたなと感じますし、ここは良かったですね。

 ただ、CFOとしてファイナンスを見ながら、労務やリーガルなどコーポレート機能の全体を管掌していたのでかなり大変でした。笑

ー いつも感じるのですが、よくその状況でチームが回ってますよね

土井

 各チームが独立して動けるように、マネージャー比率を高く保てているからだと思います。

 もともとコーポレートチームを拡大していくにあたって、ここはかなり意識していました。

 この判断は間違ってなかったですし、採用もしっかりできて良かったです。

 個人的には、今年一番良かったことはチームメンバーが増えたことで、「ベルフェイスに入社してくれてありがとう」と伝えたいですね。

ー 他に良かったことはありましたか?

土井

 これはCFOとしての立場からの発言になりますが、資金調達が上手くいって本当に良かったと思います。

 会社としてやりたいことや必要なチャレンジを阻害しない、みんなの足を引っ張らずに応援できる状況を維持できたことには安堵感があります。

 あと、予算の策定を新しい形で推進できたことも良かったです。

 今年から、各部門のマネージャーからボトムアップで予算を作成することにチャレンジしたのですが、それぞれが会社のビジョンをどのように実現していくのかを考える良い機会になったと感じます。

 もちろん完璧ではないのですが、それでも来年以降も継続していきたいと考えています。

 加えて、今は単年度予算で考えていますが、中長期的な事業計画や展望を各CxOレイヤーが策定し、責任を持って運用していける組織を目指したいですね。

 

だからこそ感じる、組織課題と改善策

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ー ここまで良かった話を聞いてきましたが、改善したいこともお伺いしたいです

土井

 COVID-19を受けて、今年の春に『bellFace』の無償提供を実施したのですが、会社全体として取り組めて良かったと心から感じています。

 ただ、CFOとしての目線に立つと、この施策に対する振り返りは弱い部分があるなと感じるのも事実です。

 想定していた仮説に対して、何が得られたのか、課題が見つかったのであればどう対応していくか。もっと、そこの議論はあっても良いなと考えています。

 会社全体としての課題の一つに、アイデアを出すことや実行力は高いのですが、ここと比較すると振り返りが弱いことが挙げられます。

 今後は、より示唆を得られる振り返りを実施していくことで、効果的な計画に調整を行い、健全な予算運用ができる組織にしたいなと。ー 来年は、どのように取り組んでいくべきなのでしょうか?

土井

 この課題を解決するための必要要件は、プロジェクトのオーナーやリーダーを明記して、その人が最終報告をしないとプロジェクトが終わらない仕組みにすることだと考えています。

 そして、この最終報告を可視化することで、このプロセスを実施するのが当たり前の組織文化にしていく。

 このような仕組みになれば、みんな「あのプロジェクトどうなったの?」と不安になることは減りますし、バリューにもある「Be honest(誠実であれ)」なフィードバックが相互に行いやすい雰囲気になっていくはずです。

 自戒も込めてになりますが、この仕組み化は進めていきたいですね。ー たしかに、会社全体として改善していくべき課題ですね

土井

 実際に、私も検証が足りなかったなと思う施策を実施したこともありました。

 実は、今年に入ってオフィスで特茶などの飲料水を購入できるスポットを設置したのですが、リモートワーク切り替えるにあたって、あまり使われないようになりました。

 頑張るメンバーを応援しようとする気持ちから私が判断して実施したのですが、正直なところ見切り発車だったなと反省しています。

 

どのような組織であるべきなのか?

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土井 

 最近感じていることに、「ベンチャーなんで」「アジャイル組織なので」を免罪符にしてはいけないということがあります。

 ただ、挑戦できる内容や範囲は明確にしたいと思いつつ、チャレンジ自体を阻害したくはない。

 このバランスが難しいなと感じています。

ー なるほど。組織をどのように作りたいのかに左右される議題ですね

土井

 そうですね。会社のフェーズによって、あるべき姿は変わっていくと考えています。

 思想としては、必要以上に性悪説的にはしたくないと思いつつ、組織が急拡大していった状況でもあるので、最低限のルールは求められると感じてます。

 ただ、ルールによってスピード感が失われたり、無駄なことを増やすことはしたくないですよね。

ー 稚拙な質問になりますが、どのようなルールが必要なのでしょうか?

土井

 一番は、顧客を守るという観点で、やはりセキュリティ周りのルールに関しては厳しくせざるを得ないです。

 ベルフェイスの事業の根幹には、希少性の高いデータを持つことによる競争優位性がありますし、私たちはデータを持ち続ける意識決定をしています。

 市場としてもセキュリティ意識は高まっていますし、ここは世界目線でより一層の強化をしていく必要があります。

ー ルールの決定や浸透はどのように進めていくのでしょうか?

土井

 この部分はちょうど取り組んでる部分ですが、セキュリティ周りを中心としたルールは今年度で必要最低限は決めるスコープで動いています。

 ルールの基準は、事業を阻害しないと想定されるラインで作っていますが、このルールに本当に意味があるのか、申請内容が増えただけ、組織に根付かない、このような状況に陥らないようにしなければなりません。

 これは来年度以降、実際にルールを運用しながらヒアリングや調整をかけていくことを想定しています。

 PDCAでいく「Plan」と「Do」はやったので、来年以降は「Check」を進めることで、適切に検証を進めていければと考えています。

 

先手を打つ「攻めのコーポレート」で、ベルフェイスを支えていく

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ー 2019年4月にベルフェイス入社されてますが、約2年間経験してみてどうでしたか?

土井

 個人の振り返りでいくと、2019年度はカオス状態だった組織を最低限とりまとめ、かつ会社を存続させることにフォーカスした1年だったなと感じます。

 そこに対して、今年度は拡大期でした。組織としてのまとまりが見えてきたなかで拡大を目指し、ただそこに市場の大きな変化があった。

 この1年を通して、多くの反省点が見つかったので、自分たちの中で再調整していくことが大事だと考えています。

ー 来年以降については、どのような見通しを立てていらっしゃいますか?

土井

 うーん、そうですね。来年度となる2021年について、私は「実を結ぶ年」になるだろうと想定しています。

 今までいた次元を一つ超えるだろうなと。

 それは、取引金額や顧客規模やロケーションが変わっていくことで顕在化していくでしょうし、来年も新しい挑戦をする年なのだと思います。

 ちなみにですが、2022年は、2021年に別次元に突入してから、そこでもやっていくことを証明する年になるとも考えています。

ー なるほど。この想定に対して、コーポレートチームはどのように先手を打っていくのでしょうか?

土井

 「攻めのコーポレートであり続ける」ことが大事です。

 コーポレート領域の業務は、よく想定外の事象が起きてから対応せざるを得ない状況が発生します。これは守りのコーポレートだと感じていて、この状況になることには悔しさを感じます。

 攻めに転じるためには、事象が起こる前段階で予見をして、先手を打たなければなりません。

 事業の足かせにならないように、会社が動く際にはシームレスに移行しているように見える準備をしておく。

 むやみにリソースを増やすのではなく、各チームが考え抜いて対策を打っておく。

 状況が変わる時に、「お、待ってました」と言えるコーポレートチームでありたいですし、周囲から大変そうに見られない時に、攻めのコーポレートは体現されているのだと考えています。

ー 先手を打ち続けるチームであるためには、どのような人が必要なのでしょうか?

土井

 自分の中でハッキリしている要素は3つで、「個人として立つべき場所が分かっている」、「そこに立つべきタイミングも分かっている」、「そこに立つ意思を持っている」

 この3つのバランスが良いことが大事です。

 1つ目は、この領域が盛り上がるという感度を持っていることを指します。もちろん、会社の成長についていけるかという話はありますが、感度があるかどうかは重要です。

 2つ目については、やはりジョインするタイミングはあると思います。1年前だと早くて、1年後だと遅い。このタイミングが論理的に判断できることも大事だと感じます。

 ただ、一番大事なのは、3つ目の要素です。立つべき場所に立つ決断をする勇気や度量は大事です。

 立つ場所がなんとなく分かっていて、不安な部分も自身の責任として引き受けることができる人は、学んで自律的に動ける可能性が高いです。

 やはり、3つの目の要素を持っている人は応援したくなりますし、他の要素を持っていることを前提として、ベルフェイスでも、それ以外の会社でも活躍するのだろうと思います。

ー 最後に来年に向けた抱負をお願いします

土井

 海外で勝負をしたいという気持ちがあるので、これが当たり前にできる会社にしていきたいと考えています。

 そのためには、今日話してきたことを実現できる組織にしていくことが求められますし、『bellFace』というプロダクトの体験価値を磨いていく必要があります。

 ベルフェイスは営業領域においてグローバルで通用するポテンシャルがあると信じていますし、CFOとしてこの挑戦を支える義務があります。

 一度この船に乗ったからには、パフォーマンスを発揮するために最善の努力をする。

 無理強いはしませんが、一緒の船に乗るからには、勝ちたい。

 そんな気持ちを持った人たちと一緒に来年も頑張っていけたらと思います。

ー 土井さん、お忙しいところありがとうございました!

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