SaaS企業の多くは、大企業や有名企業といったエンタープライズ領域への進出を目指しますが、求められる基準が変わり、多くの企業が課題に直面しています。
これらの課題を越えていくために、SaaS企業はどのような打ち手を推進していくべきなのでしょうか。
今回の記事では、そのヒントを探るべく、エンタープライズ領域およびプリセールスチームでマネージャーを務める大沼さんとPDE(Product Development Engineering)ディビジョン リレーションチーム マネージャーの田中さんに「セールスとエンジニアの連携」を中心に、お話を伺いました。
ビジョン/ミッションを達成するために
ー まずはお二人の経歴をお伺いさせてください
大沼:
これまでは大手コンサルティング会社や起業を経て、ベルフェイスは3社目になります。詳細については、過去のインタビュー記事に掲載があるので、そちらをご覧ください。
現在は、過去のバックグラウンドもあり、保険業界の領域をメインにプリセールス(技術的観点からセールスをサポートする役割)やチームのマネジメントをメインに行なっています。
田中:
私は、学生時代にハードウェア系の基盤開発の研究を行ったり、ゲームが好きだったので自作していたこともあり、1社目はエンジニアとしていろんな技術に触れたかったことから、受託開発を行っている会社に入りました。
そこから受託開発系の企業やスタートアップのVPoEなどを経て、ベルフェイスに入社しています。
ー 田中さんはどのような経緯で入社されたのでしょうか?
田中:
前職がCOVID-19の影響を受けてしまい、転職せざるを得ない状況だったことが大きいです。
そこから転職先としてベルフェイスを選ぶわけですが、もともと営業が好きで行動心理学などに興味があったことがきっかけでした。
また、個人的にも営業が属人化されているなという課題は感じていましたし、体系化したいという思いもあります。
私は働く場所を選ぶのに、その会社のビジョンや事業内容への共感が一番大事だと思っており、ベルフェイスのビジョンやミッションを達成するために、自分の経験を活かして必要なことは何でもやる。
そういう気持ちを持てたことが入社を決断できた背景にはあります。
「どこに聞いたら良いのか分からない」という課題を改善するために
ー 入社されてからは、どのような業務を担当されているのでしょうか
田中:
入社して1~2週間は、俯瞰的に動きながら、どこに課題があるのかを探していました。
実際に動いてみて感じた課題はいくつかあったのですが、一番は開発組織とセールスチームとの連携です。
具体的には、特にエンタープライズ領域の企業にアプローチする際には、個社ごとの要望があったりするわけですが、セールスチーム側からの視点から見ると、誰に質問すれば良いのか分からないという状態にあったと感じます。
当時は、そこの取りまとめを行うのに大沼さんが動いている状態だったので、そこから大沼さんと連携をとり始めました。
大沼:
分からないことがあったら、とりあえず田中さんに相談すれば良いという状況になったのは本当に助かりましたね。
特に、田中さんが入社された時期は大型案件の内示があり、「エンジニアチームと連携する必要があるけど、どうしよう・・・」と考えていたので、渡りに船でした。笑
ー 具体的に、連携はどのように進めていらっしゃるのでしょうか?
大沼:
一番重要なのは、顧客の声をまとめていくことです。
例えば、現在のプロダクトでは出来ない要望があった場合に、そもそも中長期的にプロダクトに反映されるかどうか、反映される予定のない部分について対応策をどのように提示するのか。これらの整理を2人で行うことが多いですね。
田中:
顧客からの要望に対して、私がPoC(Proof of Concept)など技術的な確認を行い、顧客との折衝を大沼さんがメインに担当されています。
実際の動き方は、厳密にはプリセールスというよりもITコンサルに近いのかもしれません。
大沼:
この連携を始めたのは去年の11月くらいからなのですが、それまでは顧客の要望をヒアリングすることは出来ていたのですが、提案の道筋を作ることにかなり時間がかかっていました。
また、これは失敗談なのですが、急ぐあまりに確認をとらずに進めていた時に、落とし穴にはまったりもしましたね。笑
例えば、顧客が特定のインフラを使っている場合には、上手く機能しない仕様があるとか。こういうトラップを回避できるようになったのは、田中さんの存在が大きいと感じます。
連携によって、顧客の疑問を即時回答できる体制に
ー 連携を始めてから、他に改善された部分はありますか?
大沼:
落とし穴を回避できるようになったのが一番大きいですが、他にも顧客要望に即時に答えられるようになったことが大きいです。
商談に田中さんに同席いただくこともあれば、商談中にSlackで田中さんに連絡して、社内で確認をとってもらって回答内容を共有してもらうことも多々あります。
商談中に即時で回答ができるようになったのは、顧客ニーズとしてもかなり良い手応えを感じます。
田中:
僕の視点からすると、情報共有さえ行えば、大沼さんが良い感じに顧客とコミュニケーションをとってくれるので、安心感がありますね。笑
ー 具体的な事例についてもお聞きしたいです
大沼:
とある大手企業様の案件は痺れましたね。笑
かなり大型の取引だったのですが、既存の認証方針だと要件を満たさず、求められるセキュリティ基準を超えないと失注するという瀬戸際でした。
そのような状況で、今日の打ち合わせでセキュリティ基準をクリアしないと失注するというタイミングで、田中さんが要件を満たす方法を思いついてくれたんです。
この案件を受注できるかどうかは会社的にも大きな影響があったので、内示をいただけた時はこれまでにない達成感がありました。
ー なるほど。お話を伺っていると、連携の意義はかなり大きそうですね!
田中:
個人的には、チームとして動いている感が強くなったことも嬉しいです。例えば、開発チームにとって「なぜ、このコードを書いているのか」など、仕事の意味付けが強くなったことは大きいと感じます。
目的が明確なので、エンジニアとしてもやる気を持って進めやすいですし、意義のある開発ができます。
実際に、かなり高いパフォーマンスを出せるようになったエンジニアもいますし、チームの雰囲気も良くなりました。
他にも、目的が明確になることで、「こういう場合は、こういう問題が起こるかもしれません」という先んじた共有も増えているので助かっています。
顧客とコミュニケーションをとっているセールスチームと連携することは、エンジニアにとっても目的意識やそこから生まれるやりがいに繋がるので連携を始めて良かったなと。
相互理解のために接点作りは必須
ー ちなみに、連携を始めてから課題などはありますか?
田中:
今の連携部分では、そこまで大きい課題はありません。もちろん、細かい課題はいくつかありますが、抜本的にやり方を見直すとかはないです。
実は1回だけ進めにくいことがあったのですが、「こうしたい!」と提案したら変わったので、今は問題をそこまで感じていません。
大沼:
そうですね。個別の要望が膨張したことはありましたが、関係者を集めた”棚卸し会”を始めたことで、エンタープライズ領域の要望を整理し、共通認識を持てるように改善したこともあり、エンタープライズチームと開発チームの連携はとれていると感じます。
また、課題というよりも今後の目指したい姿として、このような連携を全社的に行っていきたいとは考えています。
より社内の全体最適化を進めていきたいですね。
ー 最後に、連携をする場合、どのようにスタートしていくべきかをお伺いさせてください!
田中:
何よりも相互理解が重要だと思います。過去の経験として、セールスチームはプロダクトが理解できていなかったり、逆に開発チームは顧客をちゃんと知らないということは、多くの企業に存在する課題です。
なので、お互いについてをちゃんと話す機会を設けることが大事だと考えています。
大沼:
特に、このような課題は組織の人数が増えた場合に発生しがちです。
対応策としては、情報の流れの整理から始めるべきだと考えています。溜めている情報がぐちゃぐちゃだったり、適切な共有が出来ていなかったりする部分を、改善していくことから着手するのが良いのではないでしょうか?
もちろん、お互いを理解すべきというのは最低限の前提ですが。
田中:
これは個人的な意見ですが、リモートワークが当たり前になった今、飲み会が足りないと感じています。笑
オンライン飲みでも良いので、各部署との接点作りは組織的にやるべきです。
結局、何か分からないことがある時は接点のある人に聞くようになりますし、全員が良い意味で空気を読まずにコミュニケーションをとっていくことも難しいと思うので、コミュニケーション設計は大事だなと思います。
ー 大沼さん、田中さん、お忙しいところありがとうございました!
<あとがき>
セールステック領域でのイノベーションを目指すベルフェイスに興味がある方は、以下サイトをご参考ください。
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