2023.03.09

顧客に”使われないプロダクト”は作らない
プロフェッショナルな開発組織へ

 ベルフェイスの社員が最も大事にし、体現を目指す6Values。

 「For Customer」「Focus」「Think Different」「First Move」「Be Honest」「For Friends」の6つからなる、私たちが「こんな人と一緒に働きたい」という基準でもあり、ベルフェイスのハイパフォーマーには欠かせない要素です。

 カルチャー|ベルフェイス株式会社【公式】

 その6Valuesについて、ベルフェイスではクオーターに一回、最もバリュー体現をした人は誰か、全社員から投票を集めてクオーターMVPの表彰をしています。

 今回は2022年度3Qにて全社MVPを受賞された綾部さんのインタビューを実施。

 プロダクトマネジメントにおける「テクニカルフェーズ」を牽引される綾部さんに、受賞の背景や目指す組織について伺いました。

 

 

顧客のニーズをデータドリブンにプロダクトへ落とし込む

ー 綾部さんの経歴を教えてください

 

綾部さん

 ベルフェイスに入社するまではマーケティングのキャリアが一つの軸でしたね。デジタルマーケティングの代理店で、運用型広告を中心に戦略設計や運用をメインで担当していたんです。

 その後、前職にあたる事業会社へ転職し、さまざまな経験をさせてもらったのが今のキャリアに繋がっているなと感じています。最初は営業企画として入社しましたが、新規事業のBtoBマーケ立ち上げに挑戦したり、SQLを使ってデータ分析を行いプロダクト側へフィードバックをしたり、Marketoを活用してCRMを構築したり。こんな形で、営業やマーケティングだけでなく、プロダクト企画としてデータを使った業務を経験できたステップでした。

 

ー プロダクトマネジメントに近い業務を経験されたのですね

 

綾部さん

 そうです。前職のプロダクト企画としての業務経験をもとに、データドリブンなプロダクトづくりをしたいという想いでベルフェイスに入社しました。

 ただ、入社当初はプロダクト企画的なポジションが若干曖昧になっていて、今で言うPMM的なポジションで業務を開始したことを覚えています。笑

 背景として、現在の体制のような明確なプロダクト組織ではなく、顧客の意見をヒアリングしプロダクト開発に反映するという観点からCS組織に所属していたんですよね。その中でデータを使った可視化やマーケター的な動き方をしていたイメージです。

 そこから半年ほど経って、今のテクニカルプロダクトマネージャー(以下:TPM)の業務に移っていきました。

 

ー ありがとうございます。入社当初の業務と現在のTPM業務を比較したときに、考え方や方向性に変化はありましたか?

 

綾部さん

 考え方としてはあまり大きく変わっていないように思います。市場調査、顧客インタビューなどをTPMの立場として行うようになりましたが、「定性的な要素を拾いつつ、それを定量的に見た場合はどうなるのか」という視点は継続して持っているかなと。

 一方で、入社当初の業務ではプロダクトづくりにおける表層的な部分までしか関わることができていなかったので、業務としてはより自分の挑戦したかったことに近づけた形になりますね。より深い部分に踏み込むことができるようになったというか。

 その上で、私自身はエンジニアでもデザイナーでもQAでもないので、プロダクトづくりにおけるそれぞれのプロフェッショナルのような関わり方はできないんですよね。だからこそ、それぞれのプロフェッショナルとプロジェクト単位でチームを組み、一緒に考え、プロダクトをつくれることはやりがいがあるし、すっごく楽しいです。笑

 

ー さまざまなプロフェッショナルと働く中で、プロダクトマネージャーはどのような期待をされているのでしょうか?

 

綾部さん

 会社によってプロダクトマネージャーの定義ってかなり差があるのかなと思っています。ベルフェイスの中でも人によっては役割や得意領域が異なりますが、個人としては顧客のニーズを正しく拾って、それが市場全体でも求められるものなのかを検証し、プロダクトに落とし込んでいくということを期待されている、と考えていますね。

 なので最終的には、OPMW(Open Product Management Workflow)におけるGo-To-Marketまでを一環して把握した上で、適切なメンバーと連携しアウトプットを出していく、ということに集約されると思います。

 

 

“本当は”何をしたいのかを言語化する

ー 綾部さんが業務を進める上で、心がけていることを教えてください

 

綾部さん

 開発をしてもらうエンジニアの方だけでなく、どの役割を持っている人とのコミュニケーションにおいても「プロダクトを作る意味」を明確に伝えることは心がけています。WHYを大事にしているというか。

 エンジニアの方にとっても、使われないプロダクトを作ることに時間なんて割きたくないじゃないですか。笑 だから一番意識していることはそこかもしれないですね。

 

ー なるほど。心がけるようになった背景はなんでしょうか?

 

綾部さん

 以前、あるエンジニアの方から「システム屋として”できない”は絶対に言いたくない。ただ何でも屋にはならないようにしたい」と言われたことがあったんですよ。彼らはプロフェッショナルだからこそ、なんでもかんでも作るわけではなく、ちゃんと価値あるものを作りたいとフィードバックをくれたんですよね。

 そのフィードバックがきっかけになり、プロダクトマネージャーとして自身が腹落ちをした上で、なぜやるべきなのか共通認識を作っていくことに注力し始めました

 この「自身の腹落ち」をするために、何故必要なのか、本当は何をしたいのかを整理・言語化する時間をしっかりとっていますね。ちゃんと整理をしていくと、もちろん足りない観点が複数出てくるんですよ。UXの観点だったり検証の観点だったり。

 そこで、この自身の腹落ちをつくるフェーズで、先んじて各プロフェショナルの皆さんからフィードバックをもらった上で考えを固めるようにしています。皆さんから意見をもらって作っていった機能の仕様や価値を、全体の共通認識として落とし込んでいくというイメージですね。

 

ー ありがとうございます。ちなみに、大元となるプロダクト戦略からの落とし込みはどのようにされているのですか?

 

綾部さん

 まずはプロダクト組織の執行役員である大歳さんとディスカッションしながら進めることが多いですね。大歳さんに事業戦略やプロダクトの全体感を踏まえた意見をいただきながら、顧客の持つどんな課題を解決でき、事業戦略的にはどういった影響を出すことができるか、それをプロダクトとしてどういった形にしていくべきかをより具体化していきます。

 その上でデザイナーやエンジニア、QA観点も含めて、意見を出し合いながら「なぜ」を追求し、より詳細を決めていくイメージですね。

 なので、よい意味でそれぞれ役割分担ができているなと感じています。

 

 

ビジネスとプロダクトが一枚岩で価値を創出する

ー 2022年度3QでValue賞MVPを取得されましたが、最も注力したことを教えてください

 

綾部さん

 今回の受賞の一番の要因は、ID Platform (ユーザー認証基盤)プロジェクトの推進をしたことだと思っています。このプロジェクト自体はそもそも投資的な意味合いが強いもので、これからのプロダクトの強みを中長期的に作るための一手という位置づけでした。

 そのため、顧客の要望起点ではなかったのですが、中長期では顧客の課題解決に繋がると判断し、推進していったプロジェクトだったんですね。

 その中で注力したこととして、適切に設計することはもちろんなのですが、何よりも気にしたのはログインの部分でした。新規アカウントを登録したり、既存のユーザーがログインする際に必要な手順を変えてしまうという性質を持ったプロジェクトだったので、「できるだけ顧客へ負荷がかからないように」ということがお題目として掲げられていたんです。

 この部分において、顧客と直接向き合っているビジネス側とのコネクトを丁寧にしていくことが、プロダクトマネージャーとして最も重要な役割だったと思っています。スケジュール調整や顧客へのコミュニケーション設計など詳細まで確認を進めました。

 

ー 綾部さんの取り組みもあり、大きなトラブルもなくリプレイスが完了できましたね

 

綾部さん

 全くのゼロというわけではなかったですが、「ログインできなくて困る」といったような大きなトラブルが発生しなかったことは本当に良かったですね。この成功の要因としては2つの要素が挙げられると思っています。

 一つは、ビジネス側の方がプロジェクトの内容をしっかりと理解してくださり、顧客とのコミュニケーションを丁寧にとってくれたこと。

 そしてもう一つは、開発するメンバーがリスクをしっかりと把握していて、事前に対応できることをすべてやり切ってくれたことです。

 

ー なるほど。綾部さん自身はID Platformに関する知見をもともと持っていたんですか?

 

綾部さん

 いえ、私自身はID Platformの開発に関わった経験自体が無かったんですよ。その点に関しては、フェローのZIGOROuさん北上さんなど、社内に日本トップレベルのスペシャリストがいてくれたお陰でかなり救われました。ID Platformのリプレイスに関しては複数回経験されている方々でしたので。笑

 なので、役割分担を明確にして、それぞれの専門性を発揮し成功まで持っていったというイメージがマッチすると思っていますね。プロジェクトの骨子を作る担当、骨子を具体に落とし込む担当、具体案をコレクトし調整する担当、顧客のスケジュールを把握する担当、全体調整を図る担当、といった具合です。

 今回のプロジェクトに関して言えば、関わってくれたメンバーが誰一人抜けても成功しなかったプロジェクトだと言えますね。だから本当に、私だけの受賞じゃないなって思ってます!

 

ー ありがとうございます。ちなみに、今後挑戦していきたいことはありますか?

 

綾部さん

 顧客や市場に一番触れているのって、ビジネス側の皆さんだと思うんですよね。だから、多角的に検証をする前提ではありますが、よりビジネス側とプロダクトや機能について話し合う必要があると思っています。

 そのため、今後の挑戦としては「なぜ必要なのか」という議論をビジネス、プロダクト両軸で提議することができる環境をもっと作っていきたいですね。バランスって非常に大事だと思っていて、ビジネス側、プロダクト側、もしくはエンジニア側、どこかだけが意見が強い組織ってうまく回らないと思っていて。

 背中を預けてプロダクトを一緒に作り、その上で顧客へアウトプットを出せたらいいなと思いますね。直近のベルフェイスは、横の連携はできているものの、まだまだ上位レイヤー同士の連携が多いなと感じています。

 もっと現場レベルでの意見交換やディスカッションを増やしていけると、より顧客のアウトカムを意識したプロダクトづくりができるなと思うので、私がやれることをまずは徹底していきたいですね!

 

 

価値創出に向き合うプロフェッショナル組織へ

ー ご入社されてから今まで、組織としてのプロダクトづくりに変化はありましたか?

 

綾部さん

 大きな変化がいくつかあったので、プロダクトマネジメントも可視化しなければならなかったですし、役割分担も明確にしなければならないといった変化はありました。フルリモート環境の体制に切り替わったり、組織急拡大といった外部的な要因もあったので。

 その上で現状を俯瞰して見ると、プロダクトづくりに関わる人全員が「なぜ作るのか」を理解しやすい仕組みができていますし、成功事例もどんどん作れてきていると思います。まとめると、プロダクトづくりの「意図」をできるだけ100%に近い形で全体に伝えていくための仕組みづくりに、取締役はじめ全員で取り組んだ数年でした

 ただ、これからもさらに変化はしていく必要があると思っていて、「今必要なもの」という目先のプロダクトづくりから、「中長期で必要なもの」という視点でのプロダクトづくりにも仕組みが作れるといいなと考えていますね。

 当然ですが机上の空論ではなく、現実を見た上でビジョンに繋がるプロダクトの方向性を示していけるといいなと思います。

 

ー なるほど。ちなみに、これからの仕組みづくりを進めるためには、どんな組織が必要だと思いますか?

 

綾部さん

 一言で言ってしまうと「プロフェッショナル意識を持った人」が集まった組織であるべきだと考えています。顧客へ価値を提供するという「あるべきアウトプット」に対して真摯に向き合い、自身の価値貢献を考えられる人で組織が構成されていれば、短期的にも中長期的にも良いプロダクトづくりができるんじゃないでしょうか。

 特に今のベルフェイスは、決して楽に成長できる環境ではないので、簡単に他責にすることができる状況だと思うんですよね。だからこそ、プロフェッショナル意識を持ち当事者として成長を実現できる人と一緒に働いていきたいと感じます。

 スタートアップはリソースも時間も限られている環境なので、安心して背中を預けられる組織や関係性があることで、効率的に事業を成長させることができるのではないかと思っています。今いる社員はみんなプロフェッショナルですし、これから新しく一緒に働いてくれる方がいれば、そういった志向性を持った方と働きたいと考えています!

ー 綾部さん、ありがとうございました!

 

写真:松田弘明

この記事のタイトルとURLをコピーする顧客に”使われないプロダクト”は作らない
プロフェッショナルな開発組織へ https://bs.bell-face.com/2023/03/09/2023030901/
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