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2020年10月に、ベルフェイスはこれまで6つだったバリューが、7つのバリューへと生まれ変わりました。
今回は、代表取締役である中島 一明(なかじま かずあき)さんにバリューを変更するに至った経緯や、7つのバリューに込めた思いについてお話を伺いました。
1社目の起業、経営で成し遂げられなかった”強い組織作り”
ーーまずはじめに、中島さんがバリューを重要視する理由について伺いたいと思っていますが、中島さんにとってのバリューとは一体何でしょうか?
中島:
1社目の起業及び経営をした際の経験から来るものが大きいです。ビジネスモデルは悪くなかったと思いますが、優秀な人材の強みを発揮できる組織というものを作ることができなかったんです。
”優秀な人材の強みを発揮できる組織”というのは競争力の源泉になるし、その組織体制でないと会社は強くならないということを1社目を経営して学びました。
中長期的に強い事業を作っていくために、そして、発展してくためには組織作りをないがしろにはできません。組織の根本となるのは、制度の前に”価値観”だと私は考えています。
価値観があるから、価値観に準じた意思決定があるんですね。だからこそ、その価値観である”バリュー”が大切なんです。
例えば、我々はベンチャーらしく急激に成長して、世の中にインパクトを出したいと思っている。これは会社として良い悪いではなく、あくまでも価値観なんです。そして、その「世の中にインパクトを出したい」という”価値観”を体現するためのバリューを、会社が成長する上でみんなに共有する必要があります。
また、「自分のことをしっかりやっておけば、隣の人をフォローするのは不要」というのは、良い悪いではなくて”価値観”ですよね。でも私は「自分には直接関係なくても相手をフォローしようぜ」という価値観が好きだし、その価値観がないと、会社は上手くいかないと思っています。
「会社としての意思決定の基準となるものをみんなで共有せずに、同じ目線で議論はできない」という意味をバリューに込めています。
規模が大きくなっていく中で、全員が同じ価値観を持つ重要性
ーーなぜこのタイミングでバリューが7つになったのでしょうか?
中島:
半年ぐらい前から新バリューについては考えはじめていました。
人類史では「人間が自然にコミュニティとして成立できる最大数が大体150人」といわれてるんです。150人を超えると顔も覚えられないとか、分断が起きてくるんですね。
なので150人を超えていくということは、基準となる価値観や考え方を調整していかなければならない思っていました。現在の価値観に囚われ続けていたら前に進めないと。
ベルフェイスの規模がまだ小さい時、意思決定やマネジメントは中島が、もしくははマネージャー以上だけがやればいい。私はこの考え方でやっていました。
しかし、5~50人の会社が今300人以上になったということは、私が全ての意思決定やマネジメントをすることができなくなりますし、私が全てをやってはいけないと思っています。
これからは会社としての考え方や価値観を一つ一つ全員が理解し、場合によってはメンバーがご自身で意思決定する必要が出てくるわけです。
なぜなら、私の意思決定を待ってしまっていたら、会社が進むスピードは遅くなってしまう、300人以上とはそれほどの規模だからです。
ーーどれくらいの時間をかけて今回の新バリューを決定されたんでしょうか?
中島:
バリューを決定するのに、3か月くらいは時間をかけたと思います。
私が尊敬するアマゾンのリーダーシッププリンシプルを参考にしたりとか、国内でも素晴らしい会社があるのでホームページを見にいったり、色々な方に教えてもらったりとかして情報収集をまずは行いました。
バリューを考える上で着目したところは、
- 個人ではなく、チーム・お客様・会社全体のために行動しているのか。
- 相手の立場に立ったコミュニケーションをしてるのか。
- 全ての根幹にてお客様や社内、部下や上司、業務委託の方でも、相手の立場を考えているか。
- 評価に落とし込んだ際に、本当に評価できるんだろうか。
- 第三者から見て評価しやすい項目なんだろうか。
というところです。
膨大な時間をかけて文言を作り、作ったものを沢山の人にぶつけてフィードバックをもらって。ものすごく細かいチューニングをして、それぞれの職種において評価シミュレーションまでやってもらいました。
常に先手を打ちながら、チームが挑戦を支える組織に
ーーこれまで12個のバリューから6個のバリュー、そして最新の7個のバリューとポイントポイントで更新をされていますが、今回こだわったところはどこになるのでしょうか。
中島:
今までと大きく違うのは、今までのバリューと今までの評価とちゃんと照らし合わせながら網羅するということをやったことです。その軸で評価できるかどうかということが重複していないかも、相当すり合わせました。
バリューは、代表の根本に持ってないものを入れてもダメなんですよ。
中島が自然にできることじゃないとバリュー自体が機能しなくなるので、”中島のあるべき姿”と”中島が自然にできること”にするというのが、実は大切な考え方だったんです。
ーー”中島のあるべき姿”とおっしゃっていましたが、中島さん自身がバリューを体現し続けるために心がけてることはありますか?
中島:
バリューとは会社・トップの価値観なんです。なので、先程も言ったように、私自身が意識しなくても自然にやっていることを言語化したというのがバリューになります。
理想論に掲げてる部分もありますけど、例えば「誠実であれ」なら人に対して失礼な態度をとったり、ないがしろにしたりしないように意識はしています。
みんなに求めるということは、「中島もやらないといけないよね」という力学がより鮮明になる。私が私に突き付けている力学ですね。
ーー7つのバリューが体現されることによって組織としてこの様に変化していってほしいなど、ベルフェイスのこれからについて、中島さんの思いを聞かせてください。
中島:
全社員、会社全体が常にフォーカスして力学を働かせて前進する。
ただ、愚直で積み上げるだけではなく、定期的に「その手があったか!!」という違う角度で物ごとをとらえて、それを実行することができる組織。
そして、柔軟性を持ち「今期達成したけど、来期の仕掛けがない」ではなく、どんなに忙しくても次のキャリア、成果を作るために、先手を準備している組織。
まずこれが「Three Growth Values」で求めている姿ですね。個人のキャリアや人生においても、これをマスターすれば最強だと思っています。
他にも、「Four Teamwork Values」ということで誰が相手でも誠実に接して主張するだけではなく、しっかり相手のことを受け入れ、理解する努力をする。言われるがままではなく、しっかり自分の考えを妥協せずに伝えて曖昧さを残さずコミットする組織であること。
いいチームにしようというのはマネージャーだけの仕事ではないんです。
入社したばかりの人であっても「このチームをよくするのは自分がコミットすべきことの一つでもあるんだ」ということを主体的に思い、それを提案して実行する。
そして、情報を流通させ、実現するためのいい人材がいれば連れてこようというチームビルディングができる組織になってほしいと考えています。
他にも、常に細部をきちっと把握をして結果を出すために「Details」にこだわれる組織。
プロフェッショナルでありながらも困っているフレンドがいればサポートしてあげようという、「For friends」にあふれた組織。
「7 Values」が一定浸透していけば、伸び続けるし、常に先手を打ってるんだけれども最高のチームがそれを支えているという組織になると思っています。
描くロードマップの実現のため、全員の力を出し合う
ーー最後に、社内に向けてメッセージをいただけますか。
中島:
ベルフェイスはSaaSとして間違いなく伸びていますが、成功が約束された会社ではないです。
ご存じのとおり急激に新規契約も増えていますが、プロダクトがマーケットフィットしてるかというと「bellFaceじゃなくてもいい」というお客様も沢山存在します。
市場環境が急激に変わっていて、我々がそこに完全に追いつけていない。ただ、我々はこの状況を打破して、間違いなくお客様に価値を提供できる。
その価値は恐らく日本だけではなくてグローバルでも喜ばれる価値だということをロードマップに描けています。
我々のミッション、ビジョンを実現するためにはまだ、様々なことにチャレンジしていく必要があります。数々のウェブ会議などのオンラインツールがある中で、データは特に活用が難しいと思うんです。
本当に我々が描いているロードマップを成り立たせることができるかどうかが、今がベルフェイスとしての本当のチャレンジなんです。
様子を見て一歩引くのではなく、我々はもう”主体”なんです。成り立たせるために一人ひとりが何ができるのかを考え、そして行動をしてほしいと思っています。
我々が描いているロードマップを実現できるよう、そして最高の価値を世界に提供できるよう、皆さん力を貸してください。
ーー中島さん、ありがとうございました!