2021年度より、エンタープライズセールスに注力しているベルフェイス。
SaaSベンダーにとって、エンタープライズ領域を攻略していくことが事業拡大の上で重要になってきていますが、大企業向けのリアルな取り組みを知る機会は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、アカウントエグゼクティブ(以下「AE」)として大手金融機関への『bellFace』導入を実現した深谷さんに、サービス導入に至るまでの詳細などを伺いました。
未開の領域に挑戦してきたキャリア
ー はじめに、深谷さんのこれまでの経歴を教えてください
深谷:
大学卒業後、仲間内で約6年間EC事業の会社立ち上げに挑戦しました。その後、事業を清算して会社員としてのキャリアをスタートしています。
人材紹介会社へ入社し、法人営業とキャリアコンサルタントを経験した後、縁があってベルフェイスに入社してきた形です。
ー ベルフェイスでは、これまでどのような取り組みをさせてきたのでしょうか?
深谷:
最初はインサイドセールスに特化した人材ビジネスの立ち上げ担当者として入社したのですが、残念ながらその事業はお蔵入りになりました。社内でも知っている人はほとんどいないと思います。笑
その後はお客様の企業規模に関わらずカスタマーサクセスに従事した後、エンタープライズグループの立ち上げを経て、今はAEとして働いています。
ー AEのポジションに就くまで、紆余曲折があったんですね
深谷:
そうですね。法人営業の経験はありましたが、エンタープライズ領域の開拓や深耕営業にはそこまで知見はなく、今は挑戦しているというスタンスが近いです。
なので、これまでのキャリアを振り返ってみると、常に何かしら新しい挑戦をしているなと感じます。そういえば、私自身のストレングスファインダーの資質として未来志向な部分があるので、新しく何かつくったり立ち上げるということを軸にキャリアを作ってきたように思います。
エンタープライズチームのミッションは?
ー エンタープライズチーム全体のミッションを教えてください
深谷:
MRRの最大化が一番のミッションです。
加えて、導入いただいた後にちゃんと活用いただけているかを観測するためのサクセス指標としてRP指標(MRR÷月間接続数=お客様にとっての1利用あたりのコスト)の金額を下げていくこともミッションとして掲げています。
大手企業のお客様へ新規のご提案をしつつ、導入いただいたお客様のサクセスを共につくっていく、一気通貫の組織として動いている形ですね。
ー 深谷さん自身のミッションもお聞きしたいです
深谷:
ユニットリーダーとして、金融業界をメインに担当するチーム全体のMRR最大化に取り組みつつ、私自身もAEとして、商談の最前線に立っています。
ー ちなみに、商談はどのような形で進むのでしょうか?
深谷:
エンタープライズグループでは基本的にアウトバウンドでリードを獲得し、商談~導入を進めます。
具体的には、BDRという商談機会創出に特化した担当者とAEがタッグを組み、どのように導入提案を進めていくのか個社ごとに営業戦略を立て、実行していくスタイルです。
最近だと、ファーストコンタクトは手紙でのアポイント提案や既存のお客様からのご紹介といった形からスタートすることが多いですね。
お客様の利益と自社のスケーラビリティのバランスをとる
ー 直近の具体的な成果を教えてもらえますか?
深谷:
直近だと、誰もが知る大手金融機関に導入いただいたことが一番大きな成果でした。
この案件はエンタープライズチームのみならず、プリセールスや開発側のメンバーにも協力してもらい、全社的に取り組むことで得られた成果だと思っています。
ー なるほど。導入まで、どんな物語があったのでしょうか?
深谷:
スタートはパートナー企業からの紹介でした。
お客様社内にてセールスDX化を進める2つのプロジェクトが進行していて、それぞれのご担当者様と連携していました。
プロジェクトによって解決したい課題やステークホルダーが変わるため、その都度現状の確認と情報共有を徹底していくことで導入まで推進しましたね。
ー 導入を進める上で特に注力されたことをお伺いしたいです
深谷:
注力したポイントは以下の2つです。
① 先方内でのステークホルダーを把握し、先手を打って運用や機能の提案を実施した
② 自社内のリソースを把握し、プロダクトのスケーラビリティを確保した上で機能開発を進めた
①については、先方担当者と深く関係性を構築し、社内の稟議内容まで確認させていただきました。特にプロジェクトの全体感を把握することに注力することで、いつまでにどんな課題を解消したいかを握ることができ、そこから自社の機能開発に繋げることができたんです。
加えて、①をもとに②を実施していくのですが、SaaSベンダーの特徴として個社向けの機能開発は行わないというのが定石になっています。なので、単純な個社としての要望というだけでは開発部門を動かすことはできません。
そこで、お客様の要望が「業界全体の負の解消につながる要望なのか」「要望を満たす機能を開発した場合利益がどれくらい出るか」「その要望を満たすことで本当にお客様の課題解決になるのか」といった部分を、自社内の開発チーム・プリセールスチームとすり合わせながら対応を進めていきました。
ベルフェイスは今までそのような体制を組んだことがなかったので、プロジェクトの進捗に合わせて社内のキーマンとなるメンバーを巻き込んでいきました。
これは個人的な意見になりますが、自社内や他社ベンダー、そして先方の担当者とスクラムを組めるかどうかが、大手企業へ導入するカギだと思います。
ー なるほど。ちなみに、提案から受注までにはどれくらいの時間がかかったのでしょうか?
深谷:
今回は最初の提案から1年ちょっとかかりましたね。笑
多くのステークホルダーを巻き込みプロジェクトを進める必要があるため、エンタープライズセールスは長期的なスケジュールになることが多いです。
特に今回のような大型案件だと数十回のMTGを実施し、機能開発におけるPoCも実施していましたね。
ー 本プロジェクトにおいて、今後は何に注力されるのでしょうか
深谷:
カスタマーサクセスに注力し、グループ企業へ展開できればと考えています。エンタープライズのお客様は横展開することで大きな成果につながるため、うまく展開が進めば現在のMRRを数倍以上にすることができます。
大手企業のグループ全体と包括契約を巻くことがベストな形なので、今後はそれに向けて新たな戦略を練っていきたいと考えています。
AEに求められる役割は何か?
ー AEとして求められるスキルは何だとお考えですか?
深谷:
会社の規模やフェーズにもよると思いますが、「プロジェクトマネジメントスキル」「お客様への深い理解」が必要だと考えています。
前述した通り、エンタープライズセールスは多くのステークホルダーが関わるため、プロジェクトを円滑に進めるスキルは必要ですね。ステークホルダーの認識のすり合わせ、またスケジュール作成や実行を牽引できる方がエンタープライズセールスのAEとしてマッチすると思います。
加えて、お客様の理解が必要でもあります。これは単純に先方担当者の方が感じている課題を理解するだけではなくて、担当者の方もまだ掴みきれていない課題の全容を把握し、お客様の理解を促すことで、物事を推進していくことが大事です。
言ってしまえば、要件定義などコンサルティングに近しいスキルが必要なのだと考えています。
ー ちなみにベルフェイスにおけるAEの特色はありますか?
深谷:
ベルフェイスのAEといっても、様々な特色を持ったメンバーがいますね。
想像力豊かでお客様の課題を先回り提案する人や、アイデアベースのものを一つの絵に落とし込むことが上手い人、泥臭くお客様に寄り添う人など、それぞれにスタイルはあると思っています。
ただ、その中で一つ共通点を挙げるとするならば、チームミッションの達成に貢献できる「一点突破力」を全メンバーが持っていると思います。
言い換えると、メンバーそれぞれが自分の強みを活かし、お客様の利益創出につながる行動をとれるということです。
ー 最後に、深谷さん自身はどんな方と働いてみたいですか?
深谷:
AEは高い成果を求められるポジションなので、良い意味で数字に対して貪欲な人が合っていると感じます。
また、たくさんの課題や障壁がある中で前に進めるためには何をすべきかを考えられる方だと、現状のベルフェイスにマッチするのではないでしょうか?
難易度の高いエンタープライズ領域を、楽しみながら一緒に開拓できる方と働いてみたいですね!
ー 深谷さん、お時間をいただきありがとうございました!