皆さん、はじめまして。ベルフェイス執行役員CSOの澤口と申します。
当社における2020年-2021年はジェットコースターの如く大きく浮き沈みの激しい、変化の多い期間でした。私自身2020年10月にベルフェイスにJoinしましたが、この1年間は3年にも5年にも感じられるくらい本当に濃密かつハードな時間でした。
具体的に何が起きたのかの詳細は弊社代表の中島が先日Noteに生々しく書いておりますので、そちらを見ていただければと思います。
▼コロナで打撃、100人規模の人員削減。にも関わらず半年で新市場を開拓したベルフェイスの起死回生
https://note.com/kazuaki_nakajima/n/n2c686b439d34
また、この1年でいかに当社がプロダクトを起点とした会社・組織に変貌したか(その過程にあるか)は、私とほぼ同時期にベルフェイスにJoinした取締役CTO兼CPOの山口(ZIGOROu)がまとめてくれています。
▼1年間の振り返り
https://zigorou.super.site/blog-entries/ctocpo-1#d093331299ba4bd9ae9856f7240cb89d
▼プロダクト主導型組織へ向けた来年の抱負
https://zigorou.super.site/3124033d48414256a67914c034aa98d0
今回は、私自身が管掌するBussiness Groupの視点で2020年、2021年に何が起こり、その変化を受けてどんな戦略で物事を進めてきたかのか、そして2022年に向けて何をやろうとしているのか、皆さんに伝えられればと考えています。
それでは、ぜひコンテンツを最後までお読みいただけると嬉しいです。
2020年に起きたこと
端的にいうと、2020年に起きたことは以下になります。
- 2020年初頭:コロナの発生によりオンラインでの営業が世の中に急浸透。当社以外のプレイヤーはほぼおらず、問い合わせが激増(お問い合わせ/申込企業数は12,000社に)
- 2020年2月:52億円の資金調達。調達額の大半を採用活動に投下。約半年で社員数は140名から一気に340名へ急拡大
- 2020年秋頃:既存のお客様の解約が急増。新規獲得も大苦戦
私自身2020年10月の入社時は社長室長(いわゆる何でもやる人)でしたので、客観的に全社数値と向き合うことができ、「あれ、ちょっとこれはおかしいぞ」と入社当初から違和感を覚えました。そして2020年12月からGrowth Bussiness(SMB領域)の責任者を拝命し、お客様と直接向き合う機会が増えたことで、その違和感は確信に変わり、強い危機感を抱きました。
「このままでは2021年は大変なことになる。早急にリカバリープランを練らなくてはならない」と経営陣で議論を重ね、2021年初頭から戦略・方針を大きく転換しました。
2021年に何をやったか?
まず、戦える領域はどこか?の再定義を行なった
コロナ禍以前はオンライン商談システムを提供しているプレイヤーはごく少数だったこともあり、業種業界を問わずオンライン商談に感度の高いイノベーター、アーリーアダプター層の企業に導入いただいていました。
当社のプロダクトの特徴は、音声は電話を使い、アプリ等のインストール不要。お客様にネット検索から接続ナンバーを発行してもらうだけでオンライン商談ができるというものです。音声は電話を使うので通話は安定(途中で途切れたりしない)するものの、1対1のやりとりではなく、複数名が参加する商談では正直不都合が生じることが多いプロダクト仕様となっています。
コロナ禍以前において、ZoomやTeamsといったオンライン会議システムは、限られた一部のビジネスパーソンが社内オンライン会議で用いるツールでした。しかしながら、この1年で世の中的にも急速にオンライン会議システムは浸透し、一気に誰もが知る非対面コミュニケーションツールとして社会インフラ的な地位を確立しました。当然ながら当社プロダクトにも多大な影響を及ぼし、特に複数人が参加して商談を行うことが多いBtoBビジネスを営む企業は軒並みZoom、Teamsなどへのリプレイスが進んだというのが実態です。
しかしながら、たしかに影響は甚大でしたが、一方で当社のプロダクトがFitする顧客層も必ずいるはずだと考えていましたし、現に毎月新規でご契約いただくお客様、契約を継続していただけるお客様は一定数存在していました。
そこで、こういったお客様の特徴や、既存のお客様の中でも引き続き活用度合いの高いお客様の共通項を探ったところ、「ベルフェイスユーザーの営業先(Guest)が一般消費者(To C)/飲食店/商店などの小規模法人(To Small B)であり、かつGuestの方がITに不慣れな」業界では引き続き強いニーズがあることが見えてきました。そこで、この領域に対しビジネスサイドのリソースをFocus(集中投下)する、言い方を変えると、これ以外の領域は一旦スコープから外すとするという判断を下しました。
以下は実際に社内で検討を進めている際にアウトプットした分析資料の抜粋です。
次に、組織サイズの適正化を行なった
上記の意思決定を行なったことで、戦う領域は極めて狭くなりました。狭くなったことで当然ですが組織もダウンサイズしなくては、採算の観点で立ち行かなくなるのは明らかでした。
約1年前に50億円超の大型資金調達をしたばかりでしたし、毎期成長を宿命づけられたベンチャー企業であるがゆえに、対象マーケットを狭めるということ、組織をダウンサイズするということに関しては社外取締役の方々も含め何度も議論を重ねました。苦しい決断にはなりましたが、2021年4月に早期退職募集を行い、組織のダウンサイズを行うこととしました。
私自身2021年4月からビジネス領域全般を管掌する執行役員を拝命しておりましたので、結果として約200名いた配下メンバーのうち半数以上に会社を去る決断をしてもらったことになります。個々人で思うところは多々あったと思いますが、理解を示してくれ、早期退職に応募いただいたメンバーには本当に申し訳ない気持ちと感謝しかありません。
また、このような入社時には想定もしないような状況でも会社に残ってくれたメンバー、さらに早期退職のプロセスで常にメンバーに寄り添い、ひざ詰めで毎日昼夜問わずコミュニケーションをとってくれたGM・マネージャー陣には同じく感謝しかないです。こういった辛い過酷な経験を踏まえ、当社のビジネス組織はどこに出しても恥ずかしくない、一段強い組織になれていると自負しています。
※なお、現在のBusiness Groupは約90名の体制で運営しています。
そして、顧客の声とデータに徹底的にこだわり、戦略・戦術・施策を決めていった。
組織をダウンサイズした分、当然ながらリソース量は減ったのでやることにも優先順位をつけて対応しなくてはいけなくなりました。そのため、「何をやるか」の判断軸は、顧客の声とデータに基づいて決める。それを徹底し、その前提のもと戦略・戦術・施策を決めていくことにしました。
2020年までの当社は、語弊を恐れずにいうと営業に強みを持つマネジメントチームの推進力で成長を成し遂げてきた会社でした。極端にいうと、さほど熱量が高くない顧客やPMFしていない顧客であっても、持ち前の営業力により「売る」ことができていた。とにかく目先の売上を最大化することを最重要視していた状態です。対象マーケットも広かったので、このやり方でも充分通用していたのです。
2021年からは市場環境も当社の組織の状況・リソース量も大きく変わり、今までのやり方では通用しなくなりました。そこで、顧客の声(潜在顧客インタビュー・受注/失注分析・既存顧客インタビュー等)と、これまで蓄積したデータをもとに「どの顧客にアプローチするか」をまずは念入りにプランニングし、そこで得られた優先順位に基づいてアプローチすべき顧客に対し、持ち前の営業力でアクションしていく、というプロセスに変更しました。
当たり前のことではありますが、当社はサブスクリプション型のビジネスモデルを採用しておりますので、顧客のLTV(Life Time Value)をいかに最大化するか、という観点でもこのアプローチがあるべき形であると考えています。
ここからは、このアプローチを実践した1年で残せたアウトプットについて、以下でいくつかシェアさせていただきたいと思います。
①BIツール活用によるデータドリブン経営の推進
やったこと
- 部署ごとにバラバラだったBIツールをTabuleauに一本化
- 原則全員にアカウントを付与し、社内のデータ管理を一元化
- BIツールを用いてKGI・KPIを可視化することで、常に最新の正しい情報に社員全員が触れられる状況を実現
- スプレッドシート等を用いた集計作業を原則禁止に。削減工数をそのまま顧客と向き合う時間に充当
この分野はこの1年でかなり前に進めることができたと自負しております。ベンチャー企業の中でもこのスピード感/クオリティでの推進は高水準らしく、私自身がTableauのカンファレンスで登壇し、事例紹介させていただけたことからも、よい取り組みができたのではと感じています。
▼Tableauのカンファレンス(Tableau Live Japan 2021)での登壇資料
②金融特化の効果的なリード獲得(Marketing)
対象マーケットの中で最も規模が大きく、当社が最注力業界と位置付けているのが金融業界です。特に、マーケティング視点では金融業界のリードをいかに集め、業界内で認知度をあげるかがポイントでした。
そこで、上場している金融各社のプレスリリース、決算説明資料、中期経営計画等を徹底的に分析、そこから頻出キーワードを抽出し、当社プロダクトと互換性の特に高いテーマとの掛け算でウェビナーを開催しました。
▼各社のリリース資料等を分析し、頻出キーワードをマッピング
③金融業界の深掘り
前述の通り金融業界を最注力業界と位置付けていますが、当初は「金融業界を攻略するためには?」という漠然としたアプローチを取っていました。
この1年、数多くの金融機関様と商談を重ねることで、一口に金融機関といっても多種多様な業種、規模、部署(営業店/オンライン専門部隊/コールセンターなど)があり、それぞれで商慣習、営業プロセス、セキュリティ要件、意思決定プロセス等が異なることを把握できました。加えて、それぞれでどれだけのマーケットポテンシャル(導入可能ID数)があるかも同時に把握できました。
これらを踏まえ、様々な軸でお客様をセグメンテーションし、マーケット規模、プロダクトのFit度合い、導入しやすさなどで優先順位をつけ、それぞれに適したアプローチ手法で営業活動を行っております。
イメージですが、下記のように金融をセグメンテーションし、マーケットポテンシャルも勘案した上で営業しています。
2022年は「ユースケースの多数創出」と「プロダクトドリブンへの変貌」を目指す
2021年は環境の変化に対していかに対応し、サバイブするか、PDCAをひたすら回し続けた1年でした。また、数値責任を負う部署を管掌している立場として反省点も多かったです。一方で学びも多くありました。お客様の声とデータを起点に様々な手を打てたので、「この戦略・アプローチが正解なのでは?」「こっちの方向に勝ち筋がありそうだ」というお客様に対する解像度はかなり上がったと感じています。
そして、これらを踏まえて、2022年において、短期的な視点でもっともフォーカスすべきは「当社プロダクトを活用できるユースケースを多数創出し、横展開すること」だと考えています。
メインのユースケースは「オンライン商談で活用する」であることに変わりはないですが、お客様と対話していると、「こういうシーンでbellFaceを活用しており、営業プロセスの改善につながっている」という、我々も気がつかなかったようなアイデアを多数いただけます。例えば、金融商品を販売するときに事前交付が必要な目論見書を、郵送やメール送付ではなくbellFaceの資料ダウンロード機能を使うことでオンライン商談中に完了でき、時間短縮が実現できる、などです。
さらに、今年2月に一般提供を開始予定の「リモートコントロール機能」を組み合わせることで、ユースケースの選択肢は格段に広がります。
対象マーケットが狭くなった分、我々がお客様の業務プロセスの深いところまで把握し、どういったポイントでお役立ちできるのか(顧客の売上UPやコスト削減につながる可能性があるのか)の引き出しを多数用意しておく必要があります。
例えば、「bellFaceはオンライン商談システムを提供しています(よければ導入してください)」という、いわゆるプロダクトセリングのアプローチだけでは誰も見向きをしてくれません。
これを超えて、「お客様の営業プロセスの課題はここにありますよね、それを弊社のプロダクトをこのように活用することで課題解決され、これだけの経済的メリットをご提供できます」と踏み込んでお客様とコミュニケーションすることが求められており、そのためにも当社がユースケースの引き出しを多数用意しておくことが求められます。
これに2022年はフォーカスしていきたいと考えていますし、これが実現することで多くのお客様に当社プロダクトを採用いただき、当社の再成長に通じると考えています。
加えて、2021年にCFOをはじめとするコーポレートチームのおかげで約30億円の資金調達を実現し、改めてチャレンジできるチャンスをもらえました。また、CTO/CPOの山口(ZIGOROu)を中心に、当社はセールスドリブンの会社からより顧客起点のプロダクトドリブンの会社に変貌を遂げようとしています。
市場環境、会社の組織構造すべてが変革の過渡期にある会社に、当事者として関われるのは滅多にないチャンスです。成果を上げることは大前提としながらも、メンバー全員でこの環境を楽しみ、個々人の大きな成長の機会にしていければと考えています。
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ベルフェイスはもともとこのステージのベンチャーの中でも優秀でかつ当社のVision/Missonに共感し、Valuesを体現してくれているメンバーが多いと自負していますが、この1年を経て、さらにパワーアップしております。
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