2022.04.01

デザインマネージャーに聞く チームで生産性を高める相互理解のはじめかた

 

 プロダクトマネジメントの強化を図り、新機能の追加や既存機能のアップグレードを進めている『bellFace』。

 その中で、現在、新たな体制づくりが進んでいるのがデザインチームです。

 2021年11月より参画し、現在はマネージャーとしてデザインチームを牽引するイワモトに、その取り組みや今後の方向性についてインタビューを実施しました。

 デザイナー組織におけるイワモトの考えるマネジメント手法も紹介しておりますので、是非ご一読ください。

 

社会課題にクリエイティブで向き合う

ー まずはじめにイワモトさんの簡単な経歴を教えてください

イワモトさん

 モノづくりが好きで、自分たちの暮らす社会や文化に関心があったので「つくることで社会にポジティブな変化を起こそう」という意思で様々な取り組みに参加してきました。

 ベルフェイスではUI/UXデザインを担当していますが、大学時代には教育問題に関するフリーペーパーを制作して全国大会でグランプリを受賞したり、佐渡島の地域プロモーション映像を制作してmyJapan Awardで賞をいただくなど、制作領域にはこだわらずプロダクトを作ってきました。

 仕事としては、ネット時代のコンテンツ消費のあり方を問い直す「オンラインサロン」のシステムをつくっていた時期が長かったです。また個人的に、コロナ禍で困っていた地元の飲食店と話し合って早い段階から地域にWebアプリを提供したり、音楽の視聴体験が変化する中で失われる体験を取り戻すためのモバイルアプリを作ったりしています。

 作るものはその時々で異なりますが、一貫して「社会課題にクリエイティブで向き合う」という姿勢で活動しています。

 

ー その中で、ベルフェイスのデザイナーをやろうと思ったきっかけを教えてください

イワモトさん

 20代を通じて、デザイナー、エンジニアとして、上場を目指すベンチャーで働いてきました。「社会的な意義のあるプロダクトを作ろう!」という気概で働いており、その指標の一つとして上場を掲げて頑張ってきたのですが、なかなか達成することができずに30代を迎えました。

 そこで転職を考え、上場のポテンシャルがある企業を探していてベルフェイスが目に留まりました。調べていくと、2021年度にも大型の資金調達をしていて、市場の変化に合わせた柔軟な戦略を取っていることや、プロダクト主導型組織への転換を図っていることが分かりました。

 余談ですが、実はプロダクトとしての『bellFace』は友人が使っているのを見たことがあったんです。その時に「デザインには改良の余地があるな…」と思っていました(笑) なので、自身の力を活かして貢献できるだろうと考えて、ベルフェイスの募集にエントリーしました。

 ちなみに、これまでずっとデザイナーとエンジニアの兼務でしたが、今回の転職を機にどちらかに絞ろうと考えていました。エンジニアリングが分かるデザイナーと、デザインが分かるエンジニアのどちらが重宝されるかな…などと考えて、前者を選んでいます。

 

「創る・疑う・改善する」を反復できるデザイン組織

ー ベルフェイスのデザインチームはどんな組織ですか?

イワモトさん

 反復的な設計プロセスと、それを支える「思考体力」を持ったチームです。

 反復的な設計プロセスとは、抽象的な概念、見取り図から出発して、徐々に具体的な細部の設計に向かうという流れの中で「必ずしも一方向に流れなくて良い」とする考えです。反復的な設計プロセスの中では、詳細設計に入ったと思ったら、少し前に戻って枠自体の修正を検討したりします。つまり、対象へのズームインとズームアウトを繰り返す、抽象と具体を反復する過程を通じて、段々と最適な形状に接近していくやり方のことです。

 例えば、クライアントワークを中心とした受託制作においては、一つひとつの決定を覆さないよう求められる傾向があります。ステークホルダーの意思や認識を「握る」と言ったりしますが、一度ひとつの案を通してしまったら、後から妙案を思いついたり「よく考えてみたら違うかも」という気づきがあっても巻き戻す形での提案は難しいです。

 一方で、自社サービスを作るときには、あらゆる決めごとは仮だと思って向き合った方がいい。常により良いあり方を考える可能性が開かれているべきです。それこそが「自社でつくる」ことの優位性なので。

 ここで求められるのが思考体力です。概念を定義したり、定義を疑ったりしながら、進むと戻るを繰り返して創造的に考え続けるためには体力が求められます。ベルフェイスのデザインチームは、僕が最初に参加したときから、この思考体力を持ったメンバーが集まっているという印象を受けました。

 

ー 正式な入社前に、業務委託として参画されていたんですよね

イワモトさん

 そうです。一部の業務について業務委託として参画させていただき、その期間を経て入社の意思を固めました。個人的にはとても良い期間でしたし、恐らく会社やチームメンバーにとっても良かったと思います。コミュニケーションの取り方や、デザイン/プロダクト/モノづくりへの考え方を互いに確認することができました。

 同時に、まだ完全に「自分が所属している会社」ではないので、客観的に組織を見ることができる期間でもありました。組織の空気を吸ってから入社するかどうかの判断ができるのは、ミスマッチを防ぐためにも有効だと思います。

 僕は3ヶ月の間、プロダクトの意思決定に関わる人たちを見ていました。自社サービスに対して盲目的にならず、批判的な態度で問題を探り改善に取り組む姿が印象的で、ここでプロダクトをつくることに可能性を感じました

 

ー デザインチームの関連部署について他に感じたことはありますか?

イワモトさん

 デザインチームだけでなく、デザインチームが所属する「プロダクトディビジョン」には魅力的なメンバーが溢れています。

 まず、エンジニアチームの速度と精度ですね。最初に入ったプロジェクトで僕がデザインした機能のデモを作ってもらったとき、精度が高すぎて驚きました(笑) デザインを作る上で非常に心強いです。

 また、各マネージャーの考え方にも共感するところが多いです。マネージャーが自身の考えを一定量の言葉でまとめて共有する機会があるのですが、その頻度が想定以上に多く、短いスパンで行われるんですよね。例えば週次、月次のアップデート会(全社共有会)でCTOやプロダクトマネージャーの考えがしっかりとプレゼンされます。

 他にも、PO(プロダクトオーナー)と呼ばれるプロジェクトの円滑な進行を担うメンバーや、品質保証を担うQAのメンバーなど、総じて「プロダクトを良くしよう」という愛のあるメンバーが揃っています。そういう人たちとプロダクトをつくる日々はとても楽しいです。

 

個人の生産性以外に着目して、チームの生産性を高める

ー デザインチームのマネジメントをする上で意識していることはありますか?

イワモトさん

 チームマネジメントにおいて、チームの生産性を高めることは至上命題ですが、僕は「個人の生産性以外に着目して、チームの生産性を高める」ことを意識しています。

 チームの生産性を単に「個人の労働の総和」と認識していると、チームの生産性を上げようとしたとき、個人の生産性を高めようとするアプローチを取ることしかできません。すると、メンバーに対する業務的な支援は「もっと能率よく働こう」という内容になってきます。

 そうではなく、チームメンバーの働きの連携部分を改善することで、一人ひとりの生産性は変わらなくても全体の生産性を向上させることができると考えています。単純な総和ではなく「足し方」にも工夫があるということですね。これには、メンバー同士が互いの個性を理解することが必須です。すると、マネージャーがメンバーに行う業務支援は「どうしたら他のメンバーを理解できるか」という内容になってくるはず。

 ベルフェイスはフルリモートの組織なので、そもそもセルフマネジメントのできる人たちが集まっています。だから、個人の生産性にアプローチするよりも、協業のコツを伝える方が合っていると感じます。リモートでの連携方法を協議して工夫するとか、全体としてチームワークに意識を向ける。個人の生産性については「チームプレイが楽しくなってきたらそれなりに上がるだろう」と、楽観的な気持ちでいます。

 僕自身、組織やサービス、プロダクトを立ち上げてマネジメントしてきた経験は多いのですが、自分の人間力みたいなものでメンバーを引っ張っていくには限界があると知っているので(笑) 僕がメンバーへの理解を深め、それをメンバー間にも浸透させて、それぞれの成果をうまく合わせて最大化する方法が良いだろうと思っています。

 

ー なるほど。具体的に実施していることはありますか?

イワモトさん

 メンバーの価値観や経験を知ることに注力しています。その人が何を良しとするか、どんなことに納得するか、何を許せないか、などはその人の価値観によります。価値観は経験によって形成されるので、今はチームメンバーがどんな経験をしてきたのかを知り、物事をどのように考えるのかを確かめているところです。

 例えば、僕自身は「プロダクトで社会を動かす」ことをやりがいにしているので、IPOやその後の市場拡大ということを念頭にプロダクト作りをしていますが、当然、他のメンバーが同じ理由で動いているわけではありません。

 「多くの人が使いやすいデザインを追求したい」「自身のデザインスキルを活かして美しい見た目を表現したい」など、それぞれの行動原理は異なるはずです。それらを理解して、各メンバーに適切な言葉でコミュニケーションをとり、全体として向いている方向を統一することがマネジメントです。

  各メンバーが自身の価値観に従って動いている状態で、チームとしての生産性を最大化する。簡単ではないですが、真摯に取り組んでいきたいです。

 

モノづくりが好きな人たちで集まって働きたい

ー 今後のデザインチームの方向性を教えてください

イワモトさん

 モノづくりの好きな人が集まって、つくることの楽しさを動力に働くチームでありたいと考えています。

 僕はベルフェイスでデザインチームをマネジメントしている他に、自分で少し大きめのプロダクトを開発しているのですが、ベルフェイスはフルリモートかつ開発に関わる社員は裁量労働制なので、例えば10時~19時くらいにベルフェイスの業務、20時から寝るまでは他のプロダクト開発、という時間の使い方ができるんですね。

 自分のプロダクトは法人で運営していて、僕は一応その会社の代表者でもあるのですが、このことを会社から咎められることはありませんし、チームメンバーも僕のプロダクトをユーザーとして使ってくれています。また、ベルフェイスから安定した収入を得ることで、シードフェーズにある自分のプロダクトを焦らず育てることもできています。

 何より、僕はパソコンに向かって何かをつくることが大好きなので、起きている間ずっと何かをつくっている生活を送れて幸せです(笑) こういうクリエイターに「うちで働くなら他のモノづくりはしないでくれ」というのは厳しいですよね。

 ベルフェイスのデザインチームは、人がモノをつくりたいという気持ち、クリエイティビティを大事にして、それぞれのメンバーが望む「モノづくりとの関わり方」を実現できる場所にしていきたいです。

 

ー なるほど。最後に、どんな人と一緒に働きたいか教えてください

イワモトさん

 会社の求人イメージではなく、あくまで個人的な気持ちですが、フリーランスとして活躍されているような方と一緒に働いてみたいですね。

 ベルフェイスのデザインチームはみんなフリーランス経験のある人で、なんというか、歴戦の傭兵のような趣があるんです(笑) フリーランスでやっていたくらいですから、幅広いスキルセットや実力を持っているのですが、同時にその孤独さも知っている。強い個の力がありつつ、個人の限界も分かっている人たちです。そういう人たちによるチームワークは強いなと。

 また、それこそ個人開発をしている方とか、モノづくりが好きな人はマッチすると思います。ベルフェイスでのプロダクトデザインと、その人の事業やプロダクト開発が相互に影響し合うと良いですよね!

 正社員や業務委託など、雇用形態は応募者が希望する形に応えたいと思っていますので、相談してください。皆さんの連絡を心よりお待ちしています!

 

ー イワモトさん、ありがとうございました!

 

 (写真・小林璃代子)

 ※ベルフェイスではカジュアル面談も積極的に実施しております。Meetyの窓口もございますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

 #ウラ凸 ベルフェイスの、ウラ側へ突撃!!

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