2022.09.30

ミッションは”生産性2倍”
高い壁を超えるためのシステムグループの仕組みづくり

 2022年度のミッションを「生産性2倍」と掲げたベルフェイスのシステムグループ。

 単純な人員の増加ではなく、徹底的な仕組み化による効率化を目指しています。

 今回は、そのプロジェクトをリードしているVPoE杉山に、どのような取り組みに注力しているのか、インタビューを実施しました。

 システムグループ全体の方向性についても触れておりますので、ぜひご一読ください。

 

 

徹底的な仕組み化と一人ひとりの稼働可能領域の拡大

 

ー 最初に、2022年度の「生産性2倍」という目標について、設計背景を教えてください

杉山さん

 前段からお話させていただくと、私が入社してからおよそ2年が経ちましたが、入社当初から比べシステムグループの体制も大きく変わりました。正式にCTOが入り、コアプロダクト開発の内製化、そしてビルドトラップからの脱却といった形で、組織としてプロダクト開発がしやすい形に変えることができたと思っています。

 組織の変遷については、CTOのZIGOROuさんの記事でまとまっているので、ご参照いただければと思います。

 一方で、2021年度までは組織間の協力体制や、業務プロセスの継続的な刷新といった部分において、まだまだ改善できる部分が多く残っていたんですね。この課題を踏まえ、少ないヘッドカウントでよりコンパクトに業務を回せる体制の構築に注力していこうと決めました。

 そのため、分かりやすくインパクトの強い「生産性2倍」というミッションを掲げましたが、単純に人員を倍増させるといった話では当然ありません。笑 徹底的に仕組み化を進め、現状の組織における生産性を向上させることに注力しています。また補足ですが、これは定量目標ではなく、あくまで生産性を倍増させるつもりで動くという定性目標としています。

 

ー 大まかな取り組みとしては、どういったことを実施するのでしょうか?

杉山さん

 開発環境の改善でいくと、CI/CD(Continuous Integration/Continuous Delivery)やIaC(Infrastructure as Code)を、テスト自動化戦略と合わせて推進しています。こちらは部分的に実施が進んでいますが、これから更に推し進めて行く必要がありますね。

 また、プロダクトラインごとに開発していた体制を刷新し、エンハンスチームやCRE(Customer Reliability Engineering)チームといった役割ごとの体制に変更しています。背景として、プロダクトラインごとに必要なドメイン知識や技術スタックが異なっていることが原因で、元々の組織体制にしていたんです。そこから、メンバー一人ひとりの稼働可能領域を拡大するため、今の役割ごとの体制に変更した形になります。

 変更直後はもちろんメンバーの負荷が大きくなった場面もありましたが、直近はこの体制にも慣れ、今までプロダクトラインごとでしか取れていなかった連携が、壁を越えて連携できるようになっています。

 

ー 体制の変更と開発環境の刷新を進めている形ですね

杉山さん

 そうですね。結果として同じヘッドカウントで高い成果を出せる筋肉質な組織に変わっていきたいと思います。

 

 

生産性を測るキーファクターの共通認識

 

ー ミッション達成に向けて、どのような指標を置いているのですか?

杉山さん

 2022年度においては、Four Keysを採用しています。これは「LeanとDevOpsの科学」や、その原著に基づいた Accelerate State of DevOps Report にてソフトウェアデリバリのパフォーマンスを計測するための測定尺度として、毎年レポートされているものですね。

 

▼Four Keys

 

 具体的には「デプロイの頻度」「変更リードタイム」「平均修復時間」「変更失敗率」の4つで、それぞれの尺度におけるスコアをもとに「エリート」「ハイパフォーマー」「ミディアムパフォーマー」「ローパフォーマー」の4段階に分類されます。

 

デプロイの頻度

 

▼変更リードタイム

 

▼平均修復期間(MTTR)

 

 

▼変更失敗率

 

 

ー なぜFour Keysを指標として採用したのでしょうか?

杉山さん

 前提の話として「生産性2倍」という目標を達成するために「LeanとDevOpsの科学」を私達のバイブル本として設定しています。現状は、有志のメンバーで輪読会を実施するなど、その内容を深く理解し共通認識を作っている段階です。

 その中で、Four Keysはソフトウェアデリバリのパフォーマンスを測る指標ですが、この指標は「組織全体のパフォーマンス」「非営利組織のパフォーマンス」の予測要因にもなるという事が統計的に示されています。

 組織全体のパフォーマンスは「収益性」「生産性」「市場占有率」といった指標で測られますが、要はビジネス的な成功をしているかどうかというパフォーマンス指標となります。

 また、非営利組織のパフォーマンスは「効率性」「有効性」「顧客満足度」「組織的使命の達成度」といった指標で測られ、言わばプロダクトや企業のビジョン・ミッションに対する成功をしているかどうかというパフォーマンス指標だと考えることができます。

 結果として、Four Keysでソフトウェアデリバリのパフォーマンスを測り、向上への取り組みを実施することで、ビジネスやプロダクトの成功に強い相関があると判断し、2022年度の指標とした形ですね。

 

ー なるほど。輪読会などでチーム間での認識を統一するのは大事な取り組みですね

杉山さん

 方向性をトップダウンで落とし込んでいくことはスピードを早めるために重要ですが、ある程度時間をかけて全体の納得感・理解度のレベルを揃えることを重要視した形ですね。輪読会の関係者として、部署を統括するGMはもちろん、EMやテックリード、またQAやインフラエンジニアなど様々なポジションのメンバーで実施しました。

 その上で、システムグループの生産性向上がビジネス・プロダクトの成長に繋がり、ひいてはお客様のサクセスに繋がるという温度感を醸成したいと考えています。

 

▼輪読会に使用された図

 

ー ちなみに、Four Keysの可視化状況はどのようになっていますか?

杉山さん

 輪読会がようやく一巡し、これから可視化に向けて取り組みを始めていくものが多い状況ですね。大まかに確認できているものでいくと、「デプロイの頻度」は2週に1回デプロイメントをしていることから「ハイパフォーマー」、「変更のリードタイム」は概ね1週間以上~1ヶ月未満に該当すると考えられ「ミディアムパフォーマー」、「平均修復期間 (MTTR)」は概ね1時間以上~1日未満で対応出来ていると思われるので「ハイパフォーマー」に分類されます。

 また、「変更失敗率」については正確なデータを把握しないと大まかにも確認が取れないため、現在分類化はできていない状況です。

 一方で、可視化を進めていく上で、指標にはそれぞれ定義がありますが、計測仕様をどのようにするかを決めないとデータの収集自体が出来ません。他社の事例も参考にしつつ、ベルフェイスとしての計測仕様を検討し確定したのが直近の動きですね。

 加えて、一つの指標に注力しすぎるあまり、スピードを求め品質が落ちるといった元も子もない結果になることも考えられると思っています。そうならないよう、全体で認識を合わせた通り「なぜソフトウェアデリバリのパフォーマンスを向上させるのか」という大元のお題を念頭に、今後も改善を続けていきたいと考えています。

 

 

カルチャーフィットを重要視する開発組織

 

ー ミッションとはズレた質問ですが、システムグループはどんな雰囲気で業務を進めているんでしょうか?

杉山さん

 現在のシステムグループは、語弊を恐れずに言うと「人間味に溢れたエンジニア組織」という印象がありますね。

 俗に言うギーク寄りのエンジニアというより、コミュニケーションもフランクでチームとして成果を出すタイプのエンジニアが多いと感じています。これは、事業を信じて挑戦しつづけてくれているメンバーが多いからこその傾向かなと個人的に思いますね。

 この辺りは、採用面接の中でもカルチャーフィットを重要視して選考をしていることもあり、今後もグループの雰囲気として継続されていくものだと言えます。

 

ー B2Bプロダクトにおいてはエンジニアの方が事業を身近に感じずらいと思いますが、意外と共感が多いんですね

杉山さん

 『bellFace』は直近特にB2B2Cといった様に、リテール営業やカスタマー接点の部分でご活用いただくことが多いため、消費者としてサービスを目にすることも多いんです。

 例えば家を買うとして、そのローンを組むときのオンラインコミュニケーションの場で『bellFace』が使われていて、エンジニア自身が体験したり身近な方からの共有などで知ることもあるんですよね。すごく印象的なところで言うと、あるメガバンク様のトップページに『bellFace』の接続画面が掲載されていて、お客様が活用されていることを常に認識できたりしています。笑

 こんな感じで、事業や取り組みを肌で感じることができる環境だからこそ、生産性を上げてより良いプロダクトを迅速にお客様に届けたいと思えるんだろうなと。

 

ー なるほど。最後に、システムグループを今後どのような組織にしていきたいのか教えてください

杉山さん

 より称賛の文化を強化していきたいと思っています。意図としては、互いの取り組みを知り称賛をすることで、よりチーム間の連携が進むと同時に、一人ひとりのドメイン知識が自動的にアップデードされると考えているためです。

 現在の取り組みとして、「Technical Articles」という各チームの成果や取り組みを何でも良いのでカジュアルに書き出すNotionページを作成しています。そこから派生して改善が生まれても良いですし、単純にエンジニア同士のコミュニケーションの場としても使えればという感じですね。

 あとは、そういった文化も含めて開発組織をどんどんリードしてくれるEMやテックリードの採用も継続することで、より質の高いアウトプットを継続できるようにしていきたいと考えています!

 

ー 杉山さん、ありがとうございました!

 

(写真:松田弘明)

 

 

※ベルフェイスでは、現在採用を積極的に行っています。少しでも興味をお持ちの方は、ぜひ以下の情報も参考にしてみてください。

ベルフェイス株式会社

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