2022.12.14

企業の成長に欠かせない労務意識とは?

 ベルフェイスのコーポレートブランディングの一環として始まった、連載企画「ゼロからのバックオフィス構築物語」。

 第7話をお送りするのは、コーポレートグループの鈴木さんです。

 本話では特に、「労務管理」について深ぼった内容となっていますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。

 


 

 コーポレートグループで労務を担当しています、鈴木です。

 今回は社内に「労務管理意識を根付かせる」というテーマでお話したいと思います。

 

企業における、労務管理の意識、労務視点の重要さ

 企業を経営する上で、守らなければいけないルールが多くあります。

 そして、この前提の中で、ただルールを守るだけでなく、「会社を成長させる」という攻めに転じることができるかどうかが、バックオフィスでは重要になってきます。

 その中でも、労務管理は、「従業員のパフォーマンス」≒「会社の成長」に直結する部分が多くあります。だからこそ、労務管理をしっかり(ときにはふんわり)実施しているか否かが、創業初期からのグロースにつながってくるのです。

 加えて、大切なのは、社員本人だけではなく、会社にもメリットが大きいということを理解することです。

 一例を挙げると、適切に労務管理を行えば、データを元に人事戦略を策定することが可能になります。これは、従業員情報や業務内容、申請、日々の勤怠、健康情報など、個人につながった情報を労務が取り扱うことに由来します。

 そのため、これらのデータを整え、しっかり管理(ときには加工/管理)することで、新たな人事施策を進める際の判断材料や評価、賃金設計における一指標としても利用可能となります。

 逆に、企業の経営に労務的視点が欠けている場合、企業が不測の損害を被るリスクを孕んでいます。ゆえに、経営に携わる方や管理職の方、人事が日々従業員の生産性の向上を目指し、奮闘しているのです。

 また、このように生産性の向上を目指していく過程においては、新しい人事周りの施策やルールの変更といった案が出てきます。このような人事施策を打つことは自由に見えますが、それらの施策が労働諸法令(従業員の権利や義務)をしっかりと守っている上で意思決定なされているか、といったことは労務的視点で判断する必要があります。

 これらの人事施策の立案や変更が企業活動として労働諸法令に照らし合わせても問題ないのかについて、基準を知らなければリスクとなり、後に想定外の金銭的支出、士気の低下ならびに会社に対する信用の低下といった大ダメージを受ける原因となりえます。

 このリスク低減のために、労務的視点が重要になります。

 そのためにも、事業活動を行う上で、ややこしい労働諸法令がいくつもありますが、それを理解した上で、管理ルールを敷いていくことが重要です。会社の意思決定に対し、労働諸法令を踏まえ、中長期視点での管理のことも考える。そんなバランス感覚を兼ね備えて、会社として正しい判断をするのも労務の機能の一つです。

 この守らなければいけないことを守るだけではなく、会社の成長につなげる、これが労務管理の重要なポイントであり、労務の必要性につながります。

 

 

スタートアップ企業における労務管理

 一般的に、スタートアップのシード期のようなフェーズにおいては、労務担当者を専任でおくことは稀であり、外注や外部の社労士の方に依頼をして、最低限の労務管理を実施することが多いと思います。

 だからこそ、逆に言えば、シード期であってもしっかりとした労務管理をすることは、他社にない強みとなり、安心感にもつながります。

 もちろん、必ずしも、「しっかりとした労務管理を行う」=「労務担当者を専任でおく」ということではありません。会社の成長を見越して、アップデートしやすいような労務管理を徐々に導入していくことが重要になってきます。

 例えば、労務管理ツールの導入や、規程の整備は早ければ早いほどいいです。

 初期の頃は問題なくても、15人、30人、50人と社員が増えていくと、働くメンバーのマインドも変わってきて、労務管理が必要になってきますし、元々いたメンバーにしてみれば、管理されることに対して“手間が増える”ということでマイナスの印象を持たれるもしれません。(もちろん、労働諸法令では1人でも従業員を雇い入れると、さまざまな労務管理義務が課されるのですが…。ここでは手が回っていないスタートアップを想定しています。)

 しかし、前述のように会社にとってプラスのアクションですので、経営陣から強くメッセージを発信して推進していくことが必要だと考えます。

 

どんな規程・ルールを定める必要があるか

 人事労務領域における規程は、とにかく多岐に渡っており、頻繁に法律が求める要件も変わってきます。(これは政府が働き方を常々見直しているためです)

 スタートアップ企業においてはリソースに限りがある一方で、会社自体の変化のスピードも非常に早いことも多いです。

 その結果として、就業規則などが、「一度社会保険労務士事務所に作ってもらったけども、そのままになっており、実態とすでに異なってしまっている。」というのが、スタートアップ現場のあるあるではないでしょうか?

 そこで、このような事態を回避するために、会社としてどのような部分を意識して先に定めておけばよいのかを整理してみます。

 

雇用形態の整理

 正社員、契約社員、アルバイトやパート、嘱託社員、業務委託、派遣社員、インターン生といった雇用形態の整理は早めに実施しておくべきです。当たり前のことですが、実際にフワッと決めてしまい、なあなあになっている事例も多く、いざ採用となった時に、どの属性にすべきかが問題となることが多いです。

 後述の賃金制度と併せて、しっかり最初から型を作っておくことで、短中期的に管理の工数が減るので、企業規模が小さいうちから定めておくことをおすすめします。

 

賃金制度と労働時間などの整理

 基本給や基本労働時間、また前述の雇用形態によってどう変わるのかの整理、労働時間としてフレックスを導入するのか、シフト制を取り入れるのか、裁量労働をとるのかなど、賃金制度と労働時間はしっかりと定めておく必要があります。

 

賞与

 業績連動の賞与をいれるかの議論は後に従業員のモチベーションに大きく関わってきます。業績の良し悪しや賞与を渡すことがなかなか決めづらい創業初期の頃は、社労士とも相談の上で、明確にし過ぎないことをおすすめします。

 その上で、売上が見えてきたタイミングなどで、会社の状況や従業員の部門ごとの人数比などを考慮して、しっかりとした賞与制度を入れていくのがベストだと思います。

 もちろん、就業規則に記載する必要があるものは全て重要なところですが、上記の3つは特に会社の成長につながりやすいものとなるので、早期から作っておき、また細かく見直しを行うことが重要です。

 

 

ベルフェイスにおける労務

 ここでは、ベルフェイスの労務について紹介できればと思います。

 具体的には、ベルフェイスの労務は、以下の3つの軸を意識しています。

  1. 労務チームは、従業員の権利を守った上での経営の意思決定を導く(会社を間違った方向に暴走させない)&会社が困った時の奥の手として、事前に対応策を講じておき、必要に応じて対応案を差し出す(対経営)
  2. 労務チームは、一般的な労務管理をしっかり行う設計、効率よく、ミスのないオペレーションを目指すという永遠の課題に挑む(対チーム)
  3. 労務チームは、従業員に向けて、愛と安心、信頼をもたらす存在を目指す(対従業員)

 

対経営

 1点目ですが、先述したように、様々なリスク防ぐため、労働諸法令に精通し、その知識を活かして、会社の意思決定が間違った方向に向きそうになった場合には、アンテナに引っ掛かるように日々トレーニングを積んでいます。(このためにも日々努力し、情報収集は欠かせません(涙))

 また、トラブルに発展しないよう、フロー設計~規程への落とし込み~従業員への周知という一連のフローを徹底しているため、現在は会社と従業員間でのトラブルは起きておりません。

 このように守るべきものが守られている基盤があることで、大胆に攻める経営判断や人事施策を実行できています。

 

対チーム

 次に2点目についてです。なぜ会社に労務という存在がいるのかと言えば、基本的には、以下のような業務を遂行してもらうためではないでしょうか?

●入退社手続き
●勤怠管理
●給与計算
●各種社会保険対応
●年末調整

 一般的な労務は、上記のようなオペレーションを担当しています。

 当社の労務チームは、これらの一般的な労務業務を“業務改善”という名のスポーツの種目として捉えることで、ツールなどを駆使しながら日々フローの改善や見直しを行い、高速でPDCAを回し、労務としての高みを目指しています。

 たとえば、給与計算や勤怠管理、入退社手続きなどのフロー設計や、システムの導入設定などにおいては、労働諸法令や社会保険法規に関係することがありますが、これらのフローの設計やツールの設定一つを取っても、労働諸法令の縛りが出てくる可能性があるので、しっかり理解した上で、制度や運用を作り上げていきました。

 もちろん、法令遵守可能な制度設計と管理体制のオペレーションを整え次第、外注を活用することも一案だとは思いますが、当社は内製化で対応しています。

 

対従業員

 最後に3点目ですが、労務から、従業員にお願いすることは多々ありますが、大きくは以下の2つに分けられます。

  • 法令遵守のお願い
  • 申請や、健康診断の受診のお願い

 前者についてですが、私たちは従業員の方々に法令遵守していただいて初めて労務管理体制の構築が完成すると考えています。労務が管理体制を整えたところで、従業員の方々が法令を遵守する意識がなければ、労務管理の意味はありません。

 だからこそ、どのように法令遵守や、管理業務を協力的に行っていただけるか、きちんと考えることが大事です。

 本来は遵守が必要な労働諸法令は従業員にとっては有利なことなのですが、スタートアップマインドの強い従業員からするとおせっかいに感じる法律も多く、おざなりにされがちです。そして、そのような状態で遵守してもらおうとすると、労務が煩いことを言ってると感じてしまい、結果として聞かれず、守れず、悩みの種になります。(=会社のリスクの増大)

 しかし、遵守することで会社として得られるメリットや、守れなかった場合のデメリットおよび背景を伝え、納得してもらうことができれば、ほとんどの場合において従業員側も前向きに協力をしてくれます。コツは丁寧に情報を説明することです。

 当社では、従業員の方にしっかりと背景を理解していただいた上で、ご協力をお願いしています。場合によっては説明会を開くこともあります。また、管理職としては、法令遵守しなければいけない事項を知らずにマネジメントをしているとリスクにもなりますので、適宜周知や研修を行っています。

 また、後者ですが、労務は提出してもらう申請や勤怠の締め、健康診断受診の依頼など、お願いすることが多々あります。上記同様に、従業員のために行っていることではありますが、手間な仕事と捉えられかねません。そのため、従業員に的確に内容が伝わるような周知を心がけております。

 

 

最後に

 みなさんは、今日も元気ですか!!労務は元気が大事だと思います!ここまでお読みいただき、ありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです!

 

 

※ベルフェイスでは、現在採用を積極的に行っています。少しでも興味をお持ちの方は、ぜひ以下の情報も参考にしてみてください。

ベルフェイス株式会社

ウラ凸 – シリーズD資金調達「約30億円」のベルフェイスのウラ側へ、カジュアル面談で突撃しよう

この記事のタイトルとURLをコピーする企業の成長に欠かせない労務意識とは? https://bs.bell-face.com/2022/12/14/2022121401/
  • Twitter
  • Facebook
  • Hatena
  • Pocket
  • Line